『セロひきのゴーシュ』
宮沢賢治:作
茂田井武:絵
あとがき:瀬田貞二
宮沢賢治の傑作、『セロひきのゴーシュ』。
多くの画家、イラストレーターが
宮沢賢治の作品の絵を手がけています。
みなそれぞれに力作ですが、
色や構成で十二分に表していると感じます。
そこのモダンで、西洋かどこかの国のようでもあり
どこか分からぬけれど現存するような気がして
お話の奥行きを楽しめるのです。
十二分に伝えてくれるのです。
(全く個人的な感想です)
毎晩、扉を叩いて
ゴーシュにセロを引いてくださいと頼む動物たち。
その一人一人のお願いが
音楽家の練習に欠かせない示唆のようですね。
真面目で多分控えめで優しいゴーシュは
出しゃばることも控えてそこに存在しているだけ。
音楽の表現者として、物足りない何かがありました。
そのゴーシュの感情に火をつけてくれた訪問者たち。
表現が変わっていく様子が面白いです。
自ら楽器を楽しんだ、
宮沢賢治のたどってきた音楽の道なのかもしれません。
色合いも、青色がアクセントになり好きな絵柄です。
絵本の絵の力がしっかりと出ている秀作。
素晴らしい一冊です。
あとがきは、児童文学者の瀬田貞二です。
二人の児童文学界の作家についての考察は特記すべきものです。
さらに、宮沢賢治と言う稀有な児童文学者の作品について明解なあとがきです。
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